福祉施設への就職を検討している方で、何を基準にして施設を選べばいいのか悩んでいる方に向けて、私なりの選択基準を1つ紹介したいと思います。
それは、会社として職場での私語・雑談をどのように考えているかです。
私語や雑談については会社によって考え方に違いがありますよね。
「仕事に関係ない私語・雑談は禁止」という方針を掲げる会社のほとんどは、私語・雑談は生産性を下げるものと考えているように思います。
一方で、私語・雑談に寛容な、あるいは推奨する会社もあります。そうした会社は職場の人間関係を豊かにするためとか、私語・雑談があった方が生産性が上がるという根拠を持っていたりします。
最近、コロナ禍によりリモートワークにシフトした企業がオフィスワークの重要性に気づきオフィスワークを再開したというニュースを目にするようになりました。
私が読んだ米大手IT企業の例を紹介した記事は、オフィスでの社員どうしの雑談から仕事のアイデアが生まれることもあるというオフィスワークの有効性に気づいたという内容でした。
リモートワーク、テレワークでは業務上の必要最小限の会話しかしなくなり、雑談が無くなるため新たな発想が生まれにくくなったそうです。
私がこれまで勤務してきたのは、福祉を主として対人業を生業にする会社ばかりでしたが、同じ業界のなかでも私語・雑談に対する会社の考え方は様々でした。
私語・雑談を推奨する会社の考え方としては、業務的なこと以外のコミュニケーションが社員同士の関係づくりになり、それが仕事のやりやすさに繋がるというものがありました。
日頃から社員同士の話しやすい関係性が形成されていると、意識せずとも自然と報連相ができていたり、社員同士が性格を理解しあっていると連携が生まれやすくなり、まわりまわって仕事の質があがるといったことです。
また、対人業務なので、社員同士で自然と会話が生まれる穏やかな雰囲気や柔らかい表情にしておかないと、サービスの対象であるお客様や利用者様にも穏やかな印象を与えられないといった理由もありました。
一方、私語・雑談禁止を掲げる職場は、管理者が一昔前の日本の製造業的な働き方こそ勤め人のあるべき姿だと考えている場合が多いです。要するに、無駄口叩かず黙って汗を流せということです。
たしかに、高度経済成長期に世界を席巻した日本の家電メーカーが成功したのは、「そこそこ質の良いものを安くたくさん作る」という効率性と、黙って汗を流す日本人の勤勉性の親和性が良かったからだといった言説もあります。
しかし、日本の家電メーカーが当時そうしたやり方で成功したのは、今よりはるかに円安だったことや人口ボーナス期と重なったことが理由です。
実際、「そこそこ質の良いものを安くたくさん作る」という役割は今や新興国のものです。日本の家電メーカーの多くはその役割を取って代わられ、今はより高付加価値の製品を作ることが求められています。そういう意味ではアイデアが大切なので、冒頭のIT企業のような考え方でいなければならないということです。
少し話の筋が変わったようにも思いますが、今の時代、文字通り「黙って働く」というのは、単調作業の場合は生産性を下げるという研究結果もある世の中です。
もちろん、対人業だろうが何だろうが、お客様や利用者に対して会社をどのように見せたいかでも方針は変わってくると思います。ですから、これから仕事を探す方は、会社がこうした点をどのように考えているかを選択基準の1つに加えるのも手だと思います。
これからは私一人の限られた経験上の話ですので、読むに値しないかもしれませんが、私語や雑談に肯定的か否定的かは、会社の所在地が都市部が地方かでグラデーションがありました。
都市部、といっても地方都市ですが、都市部の会社に勤めていたときは、全国的に関連会社のネットワークがある法人や外部研修などに積極的な法人に所属していたためか、会社の考え方が古いといった印象はそれほどなく、そうした会社は私語・雑談を推奨する文化のある会社でした。
しかし、郊外⇒田舎の農村部と転職してみると、より人口が少ない地域に進むにつれ、私語・雑談に対して否定的な会社になっていきます。
私語・雑談に積極的なのが現代的な潮流なのだとすると、その潮流が地方にはまだ及んでいないと考えることもできるかもしれません。
ますます個人的な意見を言うと、私語・雑談に否定的なことを言う人って、自分が雑談が苦手で他の社員との良好な関係を築くのが下手な人が多いように思います。それで私語・雑談を上手くやっている社員に厳しい目を向けたりするのですが、自分が話しかけられると嬉しそうにたくさんしゃべるんですよね。
だから、私語・雑談に厳しいことを言う管理者は、あくまで私の経験上では、あまり尊敬できる方はいませんでした。
最後は個人的な感情に任せた脱線・蛇足だったかもしれませんが、これから会社社会に出ていく方の参考になれば嬉しいです。
以上です。
