今回は株式投資をしていない人でも一度は耳にしたことがあるであろう、しょうゆメーカー キッコーマンを紹介します。
国内しょうゆ市場で、シェアは2020年のデータで約33%で1位
ちなみに2位のメーカーのシェアは約12%です。
キッコーマンは豆乳も作っており、こちらも2020年のデータで国内シェア約50%あります。
これだけでも魅力的なのですが、国内トップシェアといえども、所詮は人口減少していく日本です。市場の規模は縮小していく可能性大です。
キッコーマンの可能性は国内というより、海外に広がっています。すでに海外進出を成功させているのですが、これからの成長可能性にも期待ができます。
では、キッコーマンの海外での活躍を書いていきます。
海外のしょうゆ市場でのシェアと販売量
キッコーマンのしょうゆは海外でシェアを広げています。
例えばアメリカでは、家庭用しょうゆ市場で約57%のシェアです。
アメリカではすでにこれほどのシェアを持っていますが、海外の地域別でのしょうゆ類販売数量では、アジアや欧州市場の成長も著しいのです。
2020年時点での海外地域別の売上割合は
北米 62%
欧州 20%
アジア・オセアニア 17%
となっていて、北米の割合が大きいのですが、
2011~2020年のしょうゆ類販売数量の年平均成長率は
北米 5.3%
欧州 10.7%
アジア・オセアニア 14.1%
となっています。(ちなみに海外全体では7.4%)
アメリカ以外の地域のシェア拡大も期待できますね。
海外での利益率
海外の利益率が凄いんです。
2021年3月期の売上全体における国内と海外の割合は、
国内 36%
海外 65%
で、対する利益は
国内 32%
海外 73%
これだけでも国内より海外の事業の方が利益率が高いことが分かります。
ちなみに食料品製造・販売事業の利益率を国内と海外に分けてざっと計算したところ、
国内の利益率が約7.8%なのに対して、海外の食料品製造・販売事業の利益率は約20%もあります。
いかに海外での付加価値が高いかが分かります。今後どのようになるかはわかりませんが、今の調子でシェアが広がれば高い利益率を保っていきやすいのではないでしょうか。
そしてもう一つ面白いと思うのが、
海外事業における売上と利益の構図です。これまでは国内対海外の話でしたが、次は海外事業における事業の内訳の話です。
海外事業は大きく“食料品卸売”と“食料品製造・販売”に分かれます。
食料品卸売というのは、子会社のJFCインターナショナルという会社で行っていて、日本食レストランや現地スーパーに向けたしょうゆや米、みそなどの日本食材を販売する事業です。
食料品製造・販売がしょうゆ類の製造・販売事業のことです。
海外事業における事業別の売上比率が
食料品卸売 69%
食料品製造・販売 35%
※卸売と製造・販売のセグメント間取引が4%なので卸売と製造・販売の合計が104%になってます。
なのですが、利益はこの比率がほぼ反対になり、
食料品卸売 34%
食料品製造・販売 66%
となっているのです。
製造・販売の82%はしょうゆなので、これを見ても、いかに海外におけるしょうゆの利益率が高いかが伺えます。
ちなみに、さきほど海外の食料品製造・販売事業の利益率が約20%と書きましたが、海外の食料品卸売事業の利益率は約5.3%です。
海外では競合が少ないからでしょうか?それとも単純に味の良さで選ばれているのか。
キッコーマンのしょうゆが高い付加価値を持っているということですね。
海外の日本食ブームとやらに乗っかってどんどんしょうゆを世界に広げてもらいたいものです。
ちなみに、海外におけるしょうゆの生産拠点はアメリカに2か所、欧州に1か所、アジアに4か所あります。今後日本を襲うであろう、南海トラフ地震や富士山噴火などの大災害発生による生産機能停止という可能性に対してのリスク分散もできています。
配当方針
配当方針についての具体的な数字はキッコーマンHPから見つけることはできませんでしたが、今後、海外での製造・販売活動に資金を思う存分投資してもらいたいという思いから、私としては今のところ配当についてはワガママ言いません。“欲しがりません勝つまでは”の精神です。
ただし長期的な連続増配は期待できるでしょう。
まとめ
今回の記事を書いていて、キッコーマンは期待しか感じない会社でした。
2021年10月末現在、株価指標的には割高ですが、下がったときこそチャンスの精神で買い増していこうと思っています。
※投資に関する判断は自己責任でお願いします。
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