結論から言うと、“必要”ではないです。
資格取得にかかるコストに見合うメリットがあるかどうかを考えても、数字的にはメリットがないことも多いです。
でも、資格取得の過程で学ぶ基礎的な内容には大きな意味があります。実際、資格ありの人と資格なしの人とを比べると、仕事の質や考え方に違いを感じることが多々あります。
では簡単ではありますが、福祉系資格の実態と意義を私なりに説明します。
資格の法的位置づけ
まず、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士という福祉における代表的な3資格ですが、これらは“名称独占資格”です。名称独占資格とは、簡単に言うと、「社会福祉士です!」と名乗る権利があるという資格です。悲しい言い方をすると、名乗る権利だけの資格です。
名称独占資格と対比されるのが“業務独占資格”で、これは例えば、医師や弁護士、建築士など、その資格を持っていないと、してはいけない業務がある資格です。
つまり、資格が無くても福祉の仕事はできるということです。(※福祉の中でも一部、ケアマネなどの資格がないとできない仕事もあります)
ただし、資格を持っていると有利な点もあります。
それは、福祉サービス事業所や医療機関は、雇っている有資格者が多いほど、国や自治体から報酬を多く受け取ることができるという点です。だから、事業所としては無資格者よりは有資格者を歓迎する理由となります。
そのため、待遇面で資格手当を設定している事業所は少なくありません。
そう聞くと、資格があった方が給料が良くなると考えてしまうかもしれませんが、資格取得のコストに見合うほどのプラスではない場合もあると思いますので、これから資格取得を考えている方は要検討です。
資格の意義
資格取得の過程で学ぶ内容は基礎的なことですが、なかにはとても重要なこともあります。
例えば、介助技術。
利用者さんを支えたり抱えたり動かすときの適切な体の使い方を知っておくと、利用者さんも自分も楽です。介護職員は腰痛持ちが多いですが、適切な体の使い方を実践している人とそうでない人とでは、腰への負担度も違います。
仕事のやりやすさとサービスの質に大きな差があるでしょう。
障害者福祉の分野では、障害の理解がとても大切です。
自閉症や発達障害の特性、統合失調症の診断基準や症状などを理解せずに、情熱だけで支援をしようとすると、利用者にとっては支援どころか、いい迷惑になることだってあります。
ただでさえ障害があって生きづらさがある人が、無理解な支援者によってさらにストレスにさらされることになるのです。しかもその支援者はその仕事で給料をもらっているのです。これはもう酷いことです。
実際、障害者福祉の現場ではこうした現実が往々にしてあります。
特に年配の職員に多いように思うのですが、利用者に対して”お世話してやっている”というような態度で接しており、間違った対応でも自信たっぷりだったりします。また、気持ちは真摯に利用者に向き合っていても、やはり障害に対して理解が足りないと、ありがた迷惑になりかねません。
とにかく、資格を取る取らないは置いておいて、学ぶことは本当に大切です。
あと、堅苦しく聞こえるかもしれませんが、介護保険法や障害者総合支援法、障害者権利条約などの法制度は、ぜひ、学んでいた方が良いと思います。概要だけでも良いので知っているのと知っていないのとで、仕事の捉え方や向き合い方が全然違うはずです。
結論
資格は必ずしも持っていないとダメというものではありませんが、基礎的な知識があるのとないのとでは、利用者にとっても自分にとっても大きな違いがあります。情熱だけではいけません。「心はあたたかく、頭はクールに」って誰かが言ってました。
福祉系の資格に興味がある方は資料請求だけでもいかがでしょうか。

短い説明で不足している点も多々あると思いますが、もっと福祉の仕事のことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。