今回は、昨今の自動車のEV化で話題にあがる日本電産について考えてみます。
日本電産はブラシレスDCモーターで世界トップシェアの会社です。
ここ10年、業績・株価ともにぐいぐい成長してきました。
では、そもそもブラシレスDCモーターとはなんぞやという話からします。
ブラシレスDCモーター
モーターは様々な所で使われています。
身近なところで言えば、家電・パソコン・携帯電話。産業でも様々な機械で使用されます。
そのモーターにも種類があり、日本電産が製造しているのは主にブラシレスDCモーターという種類です。
ブラシレスDCモーターとは別にブラシ付きDCモーターというのがあるのですが、ブラシ付きに比べて、ブラシレスは製造コストが高くなりやすい分、高効率・長寿命という特徴があるそうです。
高効率であるため省エネになり、家電の電気代を抑えることにも貢献するし、長寿命であるため冷蔵庫やパソコンのHDDなどの長く使用しつづける製品に向いていると言われます。
日本電産のHDD用モーターは世界シェア80%を占めており、他にもゲーム機用ファンモーターや光ディスクドライブ用モーター、アイスメーカー、携帯電話・スマホ用振動モーターなど、数々の世界トップシェア製品を有しています。
しかし、現在トップシェアを誇る製品の多くは、今後の需要の大きな伸びは見込みにくい製品です。
例えばこれまでの日本電産の代名詞的なHDD用モーターは、今後、ますますHDDがクラウドに役割を持っていかれる可能性があり、成長の期待度はそれほど高くないように思います。
電気自動車用モーターの開発
現時点で世界で高いシェアを持っている市場には大きな成長性が見込みにくいですが、日本電産は現在、電気自動車用のモーターの開発に注力しています。
ここ数年、自動車のEV化が大きく進んでおり、今後もこの流れは継続するでしょう。
日本にはトヨタやホンダ、日産などの名だたる自動車メーカーがあるのに、自動車メーカーではない日本電産がどれほどEV市場に食い込むことができるのだろうと、私のような素人はまず思ったのですが、
調べてみると、電気自動車はガソリン車に比べて部品の数が大幅に少なく済むそうです。
構造がシンプルになるので、自動車を組み立てる作業は簡単になるそうです。ということで、自動車は、長らくノウハウや技術を蓄積してきた伝統ある有名メーカーでなくても作れるようになり、参入がしやくすなります。実際、iPhoneのメーカーであるアップルが自動車業界に参入するという話もあります。
要は、これまでのようにトヨタやホンダなどの老舗メーカーを頂点としたグループ企業内で開発・製造全てを行うのではなく、様々な会社がそれぞれ、部品メーカーから部品を集めて作る時代が来るかもしれないということです。
その時代に向けて、部品別の市場の中でのシェア争いが始まっています。日本電産はEV用モーターメーカーとしての地位を確立せんと頑張っているわけです。
産業は分業が進んでいますが、それは自動車業界でも進んでいる話なのです。(分業の話について、時間があったらデュルケーム『社会分業論』の記事をご覧ください)
配当方針・まとめ
日本電産HPには、配当方針として、配当性向30%を見据え、安定配当を維持しながら、純利益額の状況に応じて配当額の向上に取り組んでいくと記載されています。
これまでのように業績が伸びていけば連続増配も望めます。
長期的に成長するかはEVモーター事業の進化次第だと思います。現時点でも中国の自動車メーカーへの提供が実現していたりと、すでに成果は出ています。
しかし、将来的にどうなるか、私のような酒飲みひよっこ個人投資家には自信をもって予想することができません。
世界のトヨタが黙ってみているのか?自社グループで開発するのではないか?といった思いもあり、長期保有目的で日本電産の株を買う踏ん切りはつきません。
こうした可能性に賭けることができない私は株式投資で大きく稼ぐことはできないでしょうね。
※投資に関する判断は自己責任でお願いします。
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