福祉の仕事は給料が低いのではないか?
そんな印象がありませんか?
そうだと思います。ほとんどの場合は、他の産業に比べて低いでしょう。
もちろん、経営者次第ではあるのですが、そもそも、介護保険や障害福祉サービスの事業所の収益は、病院にとっての医療点数と同じ仕組みで、国や自治体からの報酬が大部分を占めます。
それでも、最近の高齢者介護の分野では、独自のサービスを展開して付加価値を提供し、保険外の(利用者の完全自己負担による)収入を大きくしている事業所もありますが、年金生活の方にとっては気軽に利用できる金額ではなかったりします。
一方で障害福祉分野では、そもそも、ほとんどの利用者(障害者)には資産の余裕がないため、独自のサービスを増やして、事業所の収入を増やすということは難しいのが実情でしょう。
ですので、事業所独自で収入を増やすことには限界があり、結果、職員に支払う給料にも限界はあります。
ということで、金融業や商社、メーカーなどの理屈上は収益に大きな可能性がある業態に比べると、給料が低くなりがちなのは否めません。
では、具体的な数字や理由を書いていきたいと思うのですが、
まず、厚生労働省の調査結果を、考えるのが面倒ではない、かつ、目が痛くなるのを厭わない方はご覧ください。
厚生労働省令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/dl/r02_kekka.pdf
厚生労働省令和2年度介護従事者処遇状況等調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/dl/r02kekka.pdf
こういうデータって読むのに苦労しませんか?私はすごく嫌いな作業です。
だから、私のようなめんどくさがり屋の方のために、この調査結果を私なりにざっくりまとめると、
福祉の仕事の平均給与は月30万円前後ということです。
ただ、これはあくまで全国の平均であって、地域によってバラつきがあります。
以前、何かの記事で読んだ情報では、東京や愛知などの都市部は平均40万円前後で、九州の福岡以外の県では20万前後だったように記憶しています。
これは私の実体験や周りから聞く情報からも、おおよそ実態に近いと思います。
どうですか?給料低いなという感想を持つ方が多いのではないでしょうか?
でも、これは福祉業界の現状からすると仕方のないことでもあるのです。
まず第一に、先に書いたように事業所が受け取る報酬自体に限りがあること。
第二に、平均勤続年数が少ないこと。
だから、大卒で資格を持って長く働いていれば、平均よりはかなり高い水準の給料をもらうことは可能です。
第三に、就職・転職の敷居が低い業界であることなども理由に挙げられると思います。
また、事業所のサービス種別によっても事業所が受け取る報酬単価や報酬の安定性が違います。
サービスの種別とは、例えば、高齢者介護であれば、特別養護老人ホームやデイサービスなど、
障害福祉で言えば、施設入所支援や就労継続支援事業などのサービスの区別を言うのですが、
大まかに通所系か入所系かの区別で考えて良いです。
そして、通所系のサービスより、入所系のサービスを行っている施設の方が給料が高い傾向にあると思います。
なぜこうした違いがあるかのかと言うと、介護保険や障害福祉の事業は、基本的に、日単位で報酬が発生するからです。
例えばですが、利用者一人当たり一日6,000円という形です。
つまり、入所系の施設は基本的に利用者が常に施設で生活しているため安定して報酬が発生し、通所系は利用者が家庭の事情や本人の都合などで利用しない日が多々あるため、報酬が安定しにくいということです。
入所系のサービスは夜勤があり、夜勤手当が加わるというのも、通所系と比べて給料が高くなりやすい理由だと思います。
蛇足ではありますが、ごくまれに平均よりかなり高い水準の給料を出す事業所もあります。
以前、仕事で知り合った方が理事長をしている三重県のとある障害福祉サービス事業所(生活介護とB型就労継続支援事業所、つまり、通所系)の例です。
この施設は、勤続6年目の30歳の男性職員に対して年収にすると600万円ほど支払っているそうです。
さらに、基本的に残業は無しで、残業が発生した場合は、職員から理事長に「残業代出してくださいねー」と気軽に言えるような雰囲気があるそうです。
この理事長は、「そこらへんの地銀よりは給料出しとるつもりや!」っておっしゃってました。
もちろん、こんな経営者は稀ですけどね。
ただ、経営の工夫ではこれくらいの給料を出すことも不可能ではないということです。こうした施設であれば、給料も立派なやりがいになります。
私の個人的な見方にはなりますが、
福祉業界は給料が低いから、優秀な人材が集まらない。
優秀な人材が集まらないから、業界の質が上がっていかない。
業界の質が上がっていかないから、給料も低い
という循環になっているように感じます。
いかがでしょうか?
福祉業界への就職・転職を考えている方
ぜひ、希望・やりがいを感じて福祉の業界に入っていただきたいのですが、案外、やりがいなんてものは仕事内容とは別に、職場の待遇の悪さで低下したりするものです。
あなたの人生を後悔しないためにも、こうした情報を鑑みたうえで検討してみてください。
それでも福祉業界の就職を検討する方には資格取得をおすすめします。 福祉系の資格に興味がある方は資料請求だけでもいかがでしょうか。

福祉業への就職・転職を検討している方はこちらも参考にどうぞ