障害福祉 サービス別 職員に求められる能力

一言に障害福祉サービスと言っても、サービスの種類は様々です。私が現場で見てきたサービスを挙げるだけでも、入所支援、生活介護、障害者就労継続支援、障害者就労移行支援、グループホームがあります。

これらのサービスの種類によって仕事内容や性質には大きな違いがあります。

今回は、障害福祉の業界に足を踏み入れようとしている方に向けて、職員に求められるサービス別の能力を書いていきたいと思います。※あくまでも私の個人的見解です。

入所支援

入所支援の対象者は比較的に障害が重い方です。入所支援というのは基本的に日中活動以外の夜間や早朝の支援のことを言います。後で書く日中の生活介護のサービスを併設している施設がほとんどですが、逆に入所支援はなく生活介護を提供している施設もあるので、あえて入所支援という括りで取り上げます。

入所支援は身体的なケアの比重が大きくなります。ですから、食事・排泄・睡眠などの身体的な健康状態への知識や観察力、介護技術が求められます。

というわけで、医療的な知識や介護技術の学習が大きな意味を持ちますし、

介護としての側面が強いので細かな部分に気を配れる方に向いていると思います。

また、夜勤や早出、遅出などの変則勤務となりますので、体力と家族の協力が重要になります。

生活介護

生活介護も入所支援同様、後で述べる就労支援系サービス利用者に比べると障害が重い方が対象になります。

ただし、入所支援が夜間や早朝の支援を指すのに対して生活介護は日中の支援です。創作活動や散歩、カラオケ、外出などのレクリエーションを行いつつ、食事や入浴、排泄の介助をします。

ですから、医療的な知識や介護技術はもちろんですが、レクリエーション活動の工夫やアイデアが求められます。そして、障害が様々なそれぞれの利用者にとって充実した活動となるために、障害への深い理解が求められます。

就労継続支援

就労継続支援はA型・B型という区分けがあります。

A型は利用者と雇用契約を結び、原則、最低賃金を出します。ですから、利用者も就労能力が高い方が多いです。

対してB型は雇用契約は無いため、最低賃金の適用もありません。一概には言えませんが、就労能力もA型に比べると水準を高くは求められません。A型ほどではないですが、一般的に、先に書いた入所支援や生活介護を利用している方よりは比較的に自立度が高い方の利用が多いです。

そして、A型であろうとB型であろうと共通しているのは、利用者が働き、それに対する賃金を保証しなければならないため、仕事づくりやその作業の枠組みや流れ、さらには、利益を出すための会計の知識や感覚が重要になります。

ここが注目されにくい点だと思います。福祉業界にいる人は“福祉=介護”といった捉え方をしている人が多く、対人支援のみを仕事と捉え、数字や営利に目を向けない、あるいは、「福祉に数字を持ち込むな」とまで考えている人もいます。

ですが、職員がそんな状態では、より質の高い支援はできません。

数字を出す仕事の枠組みを作ることで、利用者の賃金も保証できますし、それが結果的に利用者の就労能力を高める支援にも繋がります。

利用者自身も、より多くの賃金を得ることが精神的安定や自信に繋がる場合もあります。

直接的な関わりや指導などの支援ももちろん重要ですが、仕事の枠組みを作る間接的な支援のレベルを上げることで、直接的な支援の必要性が少なくなる場合もあるのです。

就労移行支援

就労移行支援は利用者を一般就労に繋げるのが目的です。

ですから、職員自身がビジネススキルを持つのはもちろん、それを利用者に伝える力が重要です。

就労移行支援に特徴的なのは、施設内においてはそうしたスキルが求められる一方、施設外に向けての洗練された社会人感覚やコミュニケーション能力も重要になります。なぜなら、利用者の就職先を開拓するために、職員自身が地域の企業に訪問して関係を形成することが求められるからです。営業の仕事がしたくない方には難しいサービスかもしれません。

グループホーム

グループホームは入所支援と同様、主に夜間や早朝の生活の支援をするサービス形態です。利用者は、日中は他の福祉サービスを利用します。

サービス提供時間やサービス内容は入所支援と近いようですが、入所支援が行われるのは、あくまでも”入所施設”であって、グループホームでは、在宅での“地域生活”を支援するという位置づけです。食事や身の回りの支援はありますが、基本的に利用者は排泄や入浴は自分で行える人がほとんどです。

大まかに言って、入所支援の利用者よりは知的にも身体的にも自立度が高いです。言葉で主張する力がある方たちが多いので、入所支援より一層、利用者との関係づくりに気を遣う必要があります。

職員が“お世話してあげる”といった態度でいると、利用者に心を閉ざされてしまうこともしばしばです。ですから、他のサービスでももちろんそうなのですが、利用者を一個人、一人格として関わる態度がより重要です。

利用者のニーズも様々ですが、支援の自由度も高いため、利用者の生活を豊かにするためのニーズを拾い把握し、かつ、それに応えていく機転の良さがあると支援者としては強いと思います。

まとめ

冒頭で言ったことを繰り返しますが、今回の記事はあくまでも私の個人的見解です。

ですが、一言に“障害福祉”と言ってもサービス種別により業務の性質が様々なのは間違いありません。

だから、これから福祉業界に足を踏み入れようとしている方は、自分の強みを生かせるサービスを選ぶのも選択の仕方の一つですし、

今現在、施設に勤めていて自分には合わないけど福祉の仕事は続けたいという気持ちがある方は思い切って異なるサービスを行う施設に転職するのもアリだと思います。

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